きちんとした絵の教育を受けたことのない私にとって、「創作」と呼べる世界に最初に触れるきっかけになったのは、思えば子供の頃に絵本代わりに読んでいた月刊「とれいん」だったのかな?という気がします。
その「とれいん」の当時の主筆、松本謙一さんの模型作品の展示会がちょうどいま開催中で、しかもジオラマの「草むら」の作り方を教えて頂けるワークショップまであるというのですから、「こんな機会はもう二度とないぞ!」とばかり、滞在中の予定をやりくりして巣鴨のジオラマ・情景模型専門店「さかつうギャラリー」さんにお邪魔してきました。
訪れてみると、たまたまこの時間帯のワークショップの申込みは私一人だったようで、本題の「草むら」の作り方のみならず、模型観、創作観から諸々の雑談まで、もったいなくもマンツーマンで松本さんのお話をたっぷりと聴かせて頂くことができました。
「船の着く時間だから、街のほうから人が歩いて集まってきて…」。
「お昼時を過ぎて、少し手の空いたレストランのスタッフが外を眺めていて…」。
「ここに立っている犬が…」。
これほどの作品を作られる方でありながら、あくまでリアルさを誇るのではなく、「物語」を伝えるとでも言いましょうか。
風景の中の人形のポーズや立ち位置にもきちんと意味がある…というお話を伺いながら、もちろんレベルは全然違うのですが、そういえば私自身、いつも絵画教室の生徒さんの前で同じ蘊蓄を語っていたことを思い出してハッとしたり…。
また、細かな繊維状のものや粒状に砕かれたスポンジ状のものなど、さまざまなジオラマ素材を幾重にも撒いて草むらを表現していく時の色の重ね方が水彩色鉛筆画と一緒だと気付いて、「あぁ、やっぱり私のルーツはここだったんだ!」と妙に納得してしまったり…。
ついでに言えば、どんなに噛み砕いて説明しても「難しい!難しい!」と嘆かれる私の教室の生徒さんたちの気持ちも、いざ自分が教わる立場になってみると少しだけ分かるような気もしました。
今日の経験は、先々きっと私の絵の中でも何かしらの形で活きてくるものだと思います。
このような貴重な機会を頂けたことに只々感謝するばかりです。
ひとつだけ失敗だったのは、せっかく作った「草むら」の習作をボンドが乾く前に鞄に入れてしまったことで…。
せっかくのサラサラ、フサフサの草地がペタッと潰れてしまったのは悔しい限りですが、まぁ、もう一度作り直す楽しみができたと解釈することにしましょう。
また東京に行く時には「さかつうギャラリー」さんにお邪魔して、面白そうなジオラマ素材などじっくり探してみようと思います。
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