宮の森日記●リスクを負う、ということ

イラストレーター鈴木周作

2015年09月19日 23:55


 面倒なことを放棄して、自分にとって一番楽で都合が良いことを「不変の真理」のように言いくるめる風潮にはどうしても馴染めません。

 例えば、「自分が楽しんで描けば見る人も楽しいはず…」などというのは、余程の才能とバランス感覚を持ち合わせた人だからこそ言えることであって、並の人間が只々楽しんで描いたのでは、確かに微笑ましくはあってもそれ以上のものには成り得ないんじゃないかと思います。
 そもそも見る人が絵の中の何を見て、何を感じて「楽しい」と思うのか?
 その過程をひとつひとつ突き詰めて考えてみないことには、他人様を「楽しませる」なんてことはそう簡単にできるものじゃありません。
 そして、そんな風に真面目に考えていくと、「自分が楽しめば…」などと言ってはいられない壁に必ず突き当たるような気がします。
 勿論、個人の趣味であればまずは御自身が楽しんで描かれることが何よりですし、逆に仕事であれば、楽しむ以前にそれ相応のリスクを負うのは当然のこと。
 ただ、「自分が楽しめば見る人も…」という、根拠のない妄信だけは厳に慎まねばと思っています。

 真摯に向き合い、考え抜いて、そして負うべきリスクはきちんと負うこと。
 絵に限らず、どんな場面でも一番大切なことだと思います。


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