宮の森日記●競合

イラストレーター鈴木周作

2017年08月08日 23:55


 以前、長くお付き合いさせて頂いていたある書籍の編集者さんから、「他社から類書の依頼は来ていませんか?」と尋ねられたことがありました。
 訊けば、同じ書籍に載っている別のイラストレーターさんが、他社の類書にもそっくりの絵を載せてしまうケースがあったとか。
 もし他社からも依頼があったなら、せめて題材や雰囲気を変えて欲しい…とのお願いだったのですが、「御社からご依頼頂いている限りは、類書の依頼は受けません!」とこちらから宣言して、実際、終刊までその会社さん一筋でお付き合いし続けることができたのは、私自身にとっても良かったのかな?と今でも思っています。
 他にも、絵画教室の講師とか、カレンダーの企画とか…。
 「売れっ子」と呼ぶには程遠い私ごときでも、「競合するので…」と言って辞退させて頂いたご依頼は、実は結構あるものです。
 もちろん、専属契約ではない以上、どんな仕事をしようが勝手…ではあるのですが、でもそういう問題じゃないですよね。

 一方で、「他社の依頼は受けないでね!」と念を押しておきながら、結局、その会社さん自身があっさり依頼を取り消してしまう…などというケースも度々あったような気がします。
 (制作依頼よりも、こういうのはメディアの方々からの「取材依頼」で多かったような?)
 安易に相手を拘束するようなことを言って憚らないところは、それが相手の収入源や、その先々のあらゆる可能性を奪っている…ということまでは意識が及ばないのでしょうか?

 「競合」って、色々な意味でつくづく難しいものだと思います。
 相手方に迷惑を掛けず、自分自身の立場も損なわず、スマートに対処する術をしっかり身につけることが、こういう仕事を続けていく上ではきっと大切なんでしょうね。


----おしらせ----
【作品掲載】季刊『スロウ』2017夏号7/25より発売!>>詳細はこちら

【クラウドファンディング】網走市鉄道記念館・客車修復プロジェクトのお手伝いをさせて頂きました。返礼品等にイラスト提供。支援募集は8/13まで!>>詳細はこちら



【札幌の水彩色鉛筆画家】 ~イラストレーター鈴木周作~
http://suzuki-syusaku.com


関連記事